★官能小説家・道中ヘルベチカさんによる連載がスタート!
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★登場人物
ミカ(31)
福岡在住の専業主婦。夫とはセックスレスで、寂しい日々を埋めるため、偽名でSNSアカウントを開設する。
シンジ(31)
東京在住の自称「俳優」。SNSでミカを知り、メッセンジャーアプリを使ってバーチャルな「出逢い」を果たす。
ミカの夫(35)
サラリーマン。毎晩仕事仲間と飲んだり、友達とカラオケに行ったりで帰りが遅い。
★第1話はコチラ
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ミカがとある実名SNSを始めたのは、三ヶ月ほど前のことだった。
日々、仕事や飲み会、友達とのカラオケで夫の帰りが遅く、寂しい時間を埋めることが目的。
懐かしい人と再会したいという思いもなく、コミュニティの規約には反するが、カエデという偽名で登録していた。
「誰でも友達申請OK」「友達の輪」「出会いの社交場」など、友達を増やす目的のグループがいくつもあり、次々に参加申請を出した。
承認が下り、そこで「31歳主婦です。旦那の帰りが遅い寂しい夜に相手してくれる人を募集中!」と適当な自己紹介文を載せると、友達申請は毎日のようにきた。
無条件で承認し続けていると、友達の数は100人、500人と、どんどん増え、あっと言う間に1,000人を超えた。
最初はいきなり人気者になったような気分だったが、「ねぇ、今夜俺とデートしない?」「不倫相手になってよ」「セフレになりませんか」といきなり個別メッセージを送りつけてくる輩も多く、困ってしまった。
肩書きを見ると、ちゃんと企業名や家族構成なども書いてある。
この人たち大丈夫なのだろうかと気になったが、自分も偽名を使っている身。
きっと、みんな同じに違いないと考えた。
さもなければ、上場企業の役職に就くような偉い人間が、カエデなんて普通の主婦に言い寄ってくるわけがない。
マトモに相手をしたら、変なサイトに誘導され、架空請求など詐欺の餌食になることもあるかもしれない。
または、そんなのはまだマシな方で、会う約束でもしてホイホイ出ていこうものなら、ケダモノのようにいきなり襲いかかってくる男もいるかもしれない。
ネットで出逢いを求めているやつなんて、ロクなやつはいない。
いくら実名主義のSNSだって、こんな風に出会い系サイトみたいな使い方をしている連中もいたもんだ。
そう、辟易しかけていた。
シンジも、同じようにさまざまな出会い目的グループに所属しながら、次から次にくる友達申請にウンザリしているような投稿を多くしていた。
「プロフィール画像がまるでモデルみたいな美人のコだったから友達承認したけど、毎回ネットビジネスとかの勧誘の話しかしてない。スパムアカウントだって、運営に通報してやったよ」
友達限定で公開されているその呟きをミカが見たのは、たまたまだった。
いつの間にお互いが友達になったのかも覚えていない。
なにせ、承認数は1,000人を超えているのだ。
いちいち一人一人との出会いを覚えているわけはない。
けれど、シンジ――彼も偽名を使っていて、マサハルという名前だった――の、その投稿に「いいね」を付けてから、彼のつぶやきはよく目につくようになった。
「今日も彼女が会ってくれない。しょうがない、風俗でも行くか。行ったことないけど」
「昨日、初めて風俗に行った。まるでグラビアアイドルみたいに体の形が整った子で、すげぇ興奮した。ただ興奮しすぎて、なにもできなかった。俺の方から体に触ることもできず、一方的に触られてばかりで、時間が過ぎていった」
「一昨日、アイドルみたいな風俗嬢となにもできなかったのが悔やまれる。高い金払ってわざわざ行ったのに。もう一回、指名しようかな。今月ヤバイけど。二週間、もやしだけ食ってがんばってみるか」
「3日前からアソコがかゆい。確かに風俗には行ったけど、何もやれてないぞ俺。ただ、ちょっと口でされたのはあったけど。それだけでも、なるもんなのかな」
「病院に行ったら、やっぱり性病と診断された。死にたい!!」
赤裸々ながら、まるでコントみたいな日々。
ついつい「いいね」ではなく「ウケるね」という感情ボタンを押してしまって、「おい、ヒトゴトだと思って笑ってんじゃねぇぞ!カエデってやつ!!」と名指してコメントされた。
「ごめん、可笑しくてつい!」
ミカもそう返したところから、二人のやりとりが始まった。
(第3話へつづく)
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