こんにちは。白玉あずきです。結婚を視野に入れた人生を考えているけれど、さて、どうしたものだかと、もやもやしている働くアラサーのみなさんに、「本当にこの人と結婚していいのか」をジャッジするヒントにしてほしい「その男と結婚しちゃダメ!」図鑑。第15回は「俺憲章を語る男」です。
コンプレックスを名言して女心を操るオレケン男
憲章とは、基本的な方針や施策を明文化した宣言書のこと。俺憲章を語る男、通称「オレケン」は、男はどうあるべきかを突き詰めて考え、その理想に近づくための憲章を持っている男。そして、それをターゲットの女性に公言する男です。
「誠実に行動する」「信頼を得られるように努める」「人の意見を尊重して円滑な人間関係をつくる」。オレケンの内容はいたってベーシックです。企業のホームページの企業概要に書いてあるような、「は? 当然じゃん?」という程度のもので、わざわざ公言するほどのものか? って話です。
しかし、それは、ある層の女性にとって、とても魅力的に映るらしい。
オレケンの憲章は、言ってみれば単なる個人の反省材料です。結局のところ、現在の自分と対局にある性質、要素となります。
オレ様なら優しくなりたい、イラチなら穏やかになりたい。そんな風に聞かされた女性は、「自分をよくわかっている! そしてそれを変えようと努力しているなんてステキすぎる」と思うらしい。「自分の欠点に目を向けられるなんて、人間として信頼できる」という人もいます。
いや、ちょっと待ちましょう。
確かに、オレケンは、自己分析が大好きで、俺ってこう! という項目を冷静に抽出していきます。ですが、“変えようと努力している”わけではなく、そうなれたらいいな~と思っているだけ。100歩譲って、「気を付けようとしている」かもしれません。でも、本質は変わっていません。
不足分を言葉で補って「最高の男」と勘違いさせるオレケン
先日出会ったオレケンは、ガタイのいいITベンチャー企業の社長でした。
身長は180㎝に届くくらい。大学時代は水泳部の部長だったそうで、運動でついた筋肉が二の腕に見事な曲隆を描いています。
その見た目にマッチした彼の断定口調と他人への欠点の指摘にうんざりしているその横で、同席したドM女子はメロメロです。
「この人と結婚したら、私は社長夫人なのね」という、壮大な夢を見させてくれる彼の肩書きが作用したということも多少はありましょうが、「運命の人に出会えた気がする」と大騒ぎ。何がポイントになったのかと聞くと、会話の折に出てきたの彼のオレケン生活のくだりだというのです。
彼は、毎晩、ベッドに入ったら、眠りにつく前に自前の憲章を思い返し、それらが達成できたかを反省するんだそうです。なんじゃそりゃなオレケン振り返り行動も、彼女にとっては「こんなに(見た目と肩書が)カッコいいのに、さらに自分を向上させようとしているところが男らしい!」となる。
男性のどこを「男らしい」と感じるのかは個人の自由なので、オレケンを男らしいと思うのも勝手です。勝手ですが、その彼女も、オレケン語りそのものがカッコイイと思っているわけじゃないんです。彼が公言したから、そういう努力をしているんだと知って、男らしくてカッコいいと思ったまでで。オレケン公表がなければ、彼はただの上から目線のオレ様男です。そして、オレケン男は、自身のオレケン公表がターゲット層に効果があることをもちろん知っています。これがクセモノ。
彼女のような、オレ様好きのドM女は、これまで、数多くのオレ様恋愛被害に遭っています。しかしながら、本質的にドMなので、「こんな恋愛はイヤだ。次こそは心安らかで幸せな恋愛を」と思っていても、再びオレ様に惹かれてしまいます。
そんな中、「オレ様のようで実はオレ様ではない風」を装うオレケン男は「オレ様はオレ様でも今まで自分を苦しめてきたオレ様男とは違う」という、ドM用の「辛そうで辛くない ちょっと辛いラー油」みたいな存在と思いがち。
でも、「オレ様のようでオレ様じゃない ちょっとオレ様風なオレケン」は、コンプレックスを口にするというオプションが付いたオレ様でしかありません。長く付き合えば、心身ともに、これまでと同様のダメージを食らうだけ。
件のドM彼女も、その彼と4か月間ほど付き合い「来年には結婚しちゃうかもー」なんて浮かれたこともありましたが、「お前と一緒にいても、俺が成長できるメリットはひとつもない。もう会いたくない」と吐き捨てられ、フラれました。しかもLINEで。そのあとは、彼に電話をかけても着拒否、送ったLINE は既読スルーののち、ブロック。つい数日前まで廃人のような生活を余儀なくされていました。
誠実でありたい男が、LINE だけで親密な人間関係を切ったりしないと思うんです。
俺憲章を語る男の欠点の吐き出しと公言は、ただのポーズ。そこに何の実りはありません。お気をつけなすって。
written by 白玉あずき