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【小説】Vol4 本心を見せない女は、モテるが愛されない<後編>

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男心を知らずして、男とうまくいこうだなんてちゃんちゃらおかしい。
ここでは、男心を知らないばっかりに失敗した女性達が、男心を学んでいく姿を描きます。「甘え下手な恵理子」「男を見くびったカナオ」「許しすぎる佐知子」と来て、今週は「本心を見せない女麻衣子」の後編です。

  • <前回のあらすじ>
  • モデル麻衣子・28歳。18歳でモデルを始めて10年、今は「Lily」の専属モデルをつとめている。
    Lilyでは表紙を、2大看板の麗奈と交代で飾るほどの人気。日々のコーディネートや撮影の様子をせっせとあげているインスタグラムもフォロワー50万人を超え、そちらでの仕事も多い。しかし、元アイドル早希のLilyモデル入りにより、知名度の差を見せつけられ、”肉体労働”であるモデル業に限界を感じ、
    もう少しタレント的な動きをしたいと思っている矢先、お食事会で出会ったテレビ番組制作会社の佐々木と、テレビ局勤務の真斗を利用しようと目論む。一方、20歳年上の所属事務所社長と不倫を2年続けている。

セックスは与えるもので溺れるものじゃない

「麻衣子ますますいい女になったなあ」

セックスの後、アマンの一室で、太田がお決まりのセリフを言った。
事務所の社長である太田と関係を持って2年になる。今年48になる太田にはもちろん妻子がいるが、そんなことはどうでもいい。唯一、太田との関係を話している地元の友達に「そのくらい愛しているの?」と聞かれたことがあるが、その逆だ。というより、正直麻衣子には愛してるという感情がよくわからない。小さい頃から男にモテることは自尊心を満たす最高の道具であったし、大人になってからは男と深い関係を持つのは、「利」があるか否かでしかない。事実、太田と深い関係になったことで、太田はそれまで以上にLily編集部に働きかけてくれて、1年前に念願の表紙を飾ることができた。

麻衣子は表紙モデルという地位を手に入れたが、太田にしたって、自分が表紙モデルになったおかげで、収入は増えたのだから、私の向上心に感謝してほしいくらいだ。そのうえ、私という若く美しい女の体を好きなようにできるのだから、むしろ彼のほうが得をしているとすら思うと少し癪にさわる。

「え、そお? 嬉しい。たあちゃんに愛されてるからじゃないかしら?」

太田は下の名を隆という。最初は社長、と呼んでいたが、いつしかそう呼ぶようになった。そのほうが太田が嬉しそうだったからである。そして、この返しもいつものお約束だ。

「そうだろうなあ。やっぱりいい男に抱かれてるといい女になるんだよなあ」と悦に入った顔で、首筋にキスをしてきた。

自分がいい女に育てた。

いつだって、男はそう思いたがる生き物だ。

吐息をもらすと「しょうがないなあ、麻衣子は欲張りなんだから」と耳を舐め始め、今夜2度目のセックスが始まった。

正直、セックスは好きでも嫌いでもない。

女友達(本当に友達かどうかはやや疑問だが)が言う「頭の中が真っ白になる」とか「身体がとろけそうになる」とか「電気が走る感じ」などというのも味わったことがなければ、それを味わいたいという欲求もわかない。

男が自分を必死で求めている様を見るのは好きだけれど、始まってしまえば、どこか興ざめしている自分がいる。けれど、セックスは男にとって自分の力を見せつけるための最大の行為であるから、もちろん、とてつもなく気持ちの良いフリはする。それなりに気持ちがいいのも事実なので、そんな演技など容易いことだ。

けれど、麻衣子にとってセックスは与えるものであって、溺れるものではない。まわりには「ダメな男だけれどセックスが良くて別れられない」とか、「セックスがよくないから別れた」とかいう女がいうけれど、そんなものは愚の骨頂だと思う。

麻衣子の思うギブアンドテイクとは

2度目のセックスを終え、ぐったりした様子の太田を見ると、20歳という年齢差を実感する。けれど、麻衣子は、嫌悪感を抱くというよりは、自分のためにそこまで頑張っている48のこの男を少し愛おしく思う。

それに、麻衣子は若い男にあまり興味がない。高一のとき最初に付き合った男は学校の中で一番いけてるといわれている先輩、そのあとは街でナンパされた大学生と年上であったので年上ではあるがたいした年齢差はなかったが、モデルを始めてからは、全員10歳以上年上、そしてその半分が不倫であった。

しかし、彼らは余裕がある上に自分には家庭があるという後ろめたさがあるため、権力や金、彼らが持っている様々なものを惜しみなく自分に与えてくれた。部屋を借りてくれた男もいたし、バーキンを3色買いしてくれた男もいたし、Lily専属になれるよう働きかけてくれた男もいた。

若くて美しい自分と、自分が持っている権力や金の力を見せつけたい男たち。

私と男の間には、正しいギブアンドテイクが成り立っている、とつくづく思う。

実現させたい欲求を男に伝えるが

ベッドの中で太田の腕に抱かれながら

「なんかあ、麻衣子もう少しテレビのお仕事とかしようかなあと思うの。たあちゃんどう思う?」と、今日一番話したかったことを口にしてみた。すると

「バラエティとかか? 麻衣子しゃべれるのかあ?」
という不愉快な回答が来た。心の中でイラッとしたが、怒っても無意味なので
「うーん。しゃべれないかなあ〜。しゃべれるように頑張るー」と答えた。そんな健気な返しをしたにもかかわらず、太田は
「そうだな。麻衣子がしゃべれるようになったらな」と気のない返事をし、
「それよりさ、今月末麻衣子の2連休のとき箱根に行かないか。ゴルフして温泉入ってさ。強羅花壇とれたからさ」と話を変えた。きっと、こいつにはテレビのツテがないのかもしれない。モデルがよくバラエティに出ているけれど、そういえばうちの事務所でテレビで活躍しているモデルは一人もいない。事務所を変えようかな、という考えが頭をよぎった。もちろん、太田には

「嬉しい〜強羅花壇。楽しみー」と答えておいたが。

欲求実現のため男に近づく麻衣子

事務所を変えるにしてもすぐというわけにはいかないし、変えるのは面倒なことがたくさんある。太田もそうだし、現場マネージャーも使い勝手がいいし、できることなら今の事務所にいたまま、テレビに出るのが賢明な選択だろう。

佐々木と真斗に会ってみよう。あれから二人からは何度もLINEをもらっていて、適当に返して繋いである。

「なかなか予定が合わなくてすみませんでした。来週木曜か金曜なら時間作れますので、お食事いかがですか?」二人に同じLINEを送った。返事がかぶったら、適当に調整すればよい。

「麻衣子ちゃんからのお誘い、待ってたよ〜。僕はどっちでも大丈夫。何食べたい?」真斗からはそっこう返事が来た。

佐々木からの返事を待って回答することにした。

「お、嬉しいねえ。来週金曜はどうかな?」30分後に来た佐々木のLINEに「楽しみにしてます」と答え、

真斗には「せっかくだから、早く会いたいから木曜にしようかなあ」と返した。

自分が欲しいものを自分からねだらず相手に差し出させる麻衣子

木曜日、真斗が指定してきたのは恵比寿のマーサカフェダンロ。
32歳テレビ局の社員なんてこの程度の稼ぎなのかもしれない。

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ワインを飲みながら適当にサラダなどをつまみ、真斗のたいして面白くもない話を聞いてあげた後、本題を切り出した。

「真斗さんはモデルとお仕事とかしますかあ?」

「俺はスポーツ局だからあんまりしないなあ。バラエティやってるやつとかはよくしてるよね」何それ、使えない、と心の中で舌打ちするも

「そうなんですねえ」とだけ返した。

「なんで?麻衣子ちゃん、テレビやりたいの?」と直球の返しがきた。話が早い。

「う〜ん、まわりでテレビ出てるモデルさんも多いし、興味はあるかなあ」

「事務所に言えばいいんじゃん、やりたいって」それを言ってダメそうだったから、お前と飯なんか食ってるんだろ、とイラつくが

「なんかあ〜、うちの事務所テレビとかあんまり強くないみたいで〜」というと

「麻衣子ちゃん事務所どこだっけ? プロレとかとかテンシーシーとか、そっち系は強いよね、モデル事務所でもテレビ」ふん、そんなこと、知ってる。でも、今の事務所でなんとかしたいから今日ここに来てるんでしょ、とさらにイラつくが、

「でも、今の事務所にとてもお世話になってるし。。。でも、テレビもちょっとやってみたいなあって思って」と微笑んでみた。

「そうなんだ。今度バラエティのやつと一緒に飲んでみる? でも、麻衣子ちゃん紹介するのやだなあ〜、俺は麻衣子ちゃんと仲良くしたいからさ」と言った。真斗の好意はうっとうしいが、話の早さはいい。

適当に微笑みを返しておいた。

「使えない男」に対して麻衣子は、、、

次の日は佐々木に会った。指定してきた店は六本木の龍吟。真斗とは懐具合が違う。

「麻衣子ちゃん、会えて嬉しいよ」と向かい合わせの個室でいきなり手を握られた。じっとりしたその質感に悪寒が走った。だから個室だったのか。こいつ、最初からこれなんて思いやられる。

しかし、表情には出さず、ふふ、と笑って、やんわり手を解き、ムルソーを口に含んだ。

「佐々木さんの会社ってどんな番組お作りになってるんですかあ?」

「今はね、web系の動画がメインなの。もうさ、テレビの時代じゃないから。ちゃんと先読んでいかないとね」得意げに答える佐々木に腹が立った。web?動画? 冗談じゃない。貴重な私の時間を返してほしい。

「そうなんですね〜」そこからは上の空で、適当に相槌を打ち、食後のデザートも「ダイエットしてるので、ごめんなさい」と断り早々に切り上げた。そして店を出た途端「二軒目行くでしょ?」と腰に手をまわしてきた佐々木の手を微笑みながらほどき「今日は帰ります。明日早いので、またぜひ」といって別れた。タクシーに乗った途端、やってきた「麻衣子ちゃん、今日は楽しかったよ。また誘うね」という佐々木のLINEに「また」は2度とないのに、フンッと鼻で笑い、タクシーのシートに深く沈んだ。

出そうな杭は早めに打っておくべし?

今日はLilyの表紙撮影。もちろんモデルは私一人。CMのように大きな花が用意されていたり、食べきれないほどのおしゃれケータリングが並んでいるわけではないけれど、やはり気分がいい。そして編集はもちろん貴子さん。

「こないだはありがとうございました!とっても楽しかったです」佐々木はハズレだったけれど、まだ真斗が残っている。貴子さんにはもう一度お礼をいってもよい。

「いや、こちらこそありがとうだよ。麻衣子ほとんどしゃべんなかったのに、帰ったあと、男ども麻衣子の連絡先を教えろってうるさくてさ〜、逆に大丈夫だった?」

ほんと、貴子さんはわかっていない。女はむしろ黙って微笑んでさえいればいいのだ。男は曖昧な頷きや返事を自分のいいように解釈するし、「もっと知りたい」という欲を掻き立てれ、勝手に熱を上げていく生き物なのだから。貴子さんみたいにあけっぴろげに全て話してしまう女など、途端に興味を失ってしまうのに。教えてあげたいなあ、と一瞬思ったが、私に得がないのでやめた。

「全然大丈夫でしたよ〜。みなさん二軒目行かれたんですか?」

「うん。あの佐々木ってオヤジがさ、ルミを口説いてさあ。ルミもまんざらでもなさそうで、意味わかんないよ〜」

あのオヤジ、ルミも口説いていたなんて腹ただしい。私とルミごときを同じ土俵に乗せるなんて失礼すぎる。佐々木と食事に行ったことは絶対にバレたくない。

「えー、そうなんですねー。ルミちゃん、なんででしょうね〜。そのあと会ったんですかね〜?」

「金持ってるからじゃない? 僕と付き合ったらハリーウインストンもバーキンも好きなだけ買ってあげるよとか言われてたから。でもさあ、妻子持ちじゃん。ないよねー。どうだろ? ルミのことだから、ほいほいついてってるかもね」

佐々木には軽く口封じをしておかなくては、と思ったが、男はわざわざ、これから口説こうと思ってる女に、他の女と食事に行ったなどと言わないだろうから、大丈夫だろう。
それより、そうだった、そうだった。この人は無駄に潔癖症だった。だから余計に婚期を逃してるんだろうけど。でも、この潔癖症を利用しよう、と思いついた。

「そうなんですね〜。そういう子、多いですよねー。早希ちゃんもパパがいるってこないだロケバスで言ってました」もちろん、そんなことは嘘だ。けれど、確かめるはずはないので、言ってみた。

「まじ?早希も?でも、そう言われてみれば無駄にエロいもんね。やっぱ、アイドル上がりってなんかダメだね」

ふふ。きっと、これで、貴子さんはしばらく自分のページに呼ばなくなる。Lilyでメインページを担当している貴子さんに呼ばれなければ、早希はお先真っ暗というものだ。素直で単純すぎて、面白いように私に操られてくれる貴子さんは本当に最高だ。

真斗が連れてきた男は公私ともに合格点

木曜日、真斗が同期だという、バラエティ担当のディレクターを連れてきた。身長168cmの私は9cmヒールをはくと、たいていの男が同じかちょっと下に見えてしまうのだが、この男は私よりずっと高い。その上、高橋一生似の涼しげな顔立ちも好ましい。

「麻衣子ちゃん、こいつ同期の佐藤翔太。翔太、こちら麻衣子ちゃん」

「初めまして、佐藤です」。甘く低い声も好みだ。仕事で使えれば、って思っていたけれど、公私ともに仲良くなるのもいいかも、と久しぶりに胸踊った。

「翔太さんはどんな番組作られているんですかあ?」

「今やってんのは、、、」19時台にお笑いが司会をして、たくさんのゲストがエピソードを話す番組名を言った。あまりテレビを見ない私でも知っている人気番組だ。モデルもよく出ている。

「そうなんですね〜」がっついてると思われるのも癪なので、そっけなく返した。

ノリのいい真斗がべらべらしゃべるのを邪魔くさく感じつつ、とりあえず一軒目を出た。

「次、行くでしょ?」という真斗に、こいつと長くいても仕方ないと思い、

「今日は帰ります」とタクシーに乗った。

3日して翔太から「明日飯でもどう?」とLINEが来た。今日の明日で、私が予定をあけるだなんて思われるなんて癪だけれど、「大丈夫ですよ〜」と返した。

落とせない男はいない麻衣子だったが

翔太が指定してきた店は青山の餃子バー。最初のデートで餃子とはずいぶん私も馬鹿にされたものだと憤慨したが、黙っていた。店を出ると腕を掴まれ、路地裏でキスをされた。

「なんだ、やっぱり、こいつもそういうことなんじゃん」と勝ち誇った気持ちになった。そのままタクシーに乗せられ、翔太のマンションに行った。ドアを閉めるなり、キスをされ、服を脱がされ、ベッドに連れて行かれた。

翔太のセックスは、予想に反して身勝手なものだった。自分は、舐めろと顔の前にもってくるくせに、逆はしない。屈辱的な気持ちになりながらも、翔太の上で腰を動かした。

その後も翔太からは週に一度くらい連絡が来て、食事をして、セックスをした。翔太とのセックスはそれほどよいものではなかったが、もともとセックスは好きでも嫌いでもないからたいした問題ではない。それより気になるのは連絡が来る頻度だ。付き合いたての男は毎日のように連絡をしてくるものだが、翔太は週に1、2度しか連絡をしてこない。仕事が忙しいのだろうか。とはいえ、自分から誘うなどありえないので、「今日はいい天気だね〜」とか「こないだ言ってた映画って何てタイトルだっけ?」とか、適当な誘い水LINEをするが、「そうだね」とか「あ、パルプフィクション?」とかそっけない返事がくるだけだった。

たかがTV局員の分際で私に夢中にならないなんて、許せない。今度会ったときは夢中にさせよう。そう決意して次のデートに臨んだ。その夜は、太田をはじめ今まで付き合っていた男が教えてくれた様々なテクニックを総動員してベッドインした。「すっごいよかったよ」という言葉を聞いて満足した。

翔太から出た衝撃の言葉

メイクを落とそうと思い、洗面所に行ったら、前回おいてあった場所にクレンジングなどがなかった。どこかにしまったのかな、と思い、引き出しを開けたら、いろんな種類の女性もののスキンケアがあった。ご丁寧に透明のビニール袋にしまわれていて、袋ごとに「マキ」「美香」「あさみ」などと女の名前が書いてあった。もちろん「麻衣子」袋も他の袋と同様にしまわれていた。怒りで体が震えるのを抑え、冷静な顔をしてベッドに戻った。

「メイク落とそうと思ったら、クレンジングがなくて。。探したら、変なもの見ちゃったんだけど?」

「あ、ごめん、出すの忘れてた」悪びれた様子もないその言葉に、え、そこ? 論点違くない?とさらに怒り心頭だったが

「そういうことじゃなくて。説明してもらってもいい?」と静かに聞いた。

「え、説明って? なんで? だって、俺と麻衣子ちゃんそういう関係じゃん」

「そういう関係?」

「そう。どうせ、麻衣子ちゃんも他に男たくさんいるんだろ。ゲームだもんな、恋愛ごっこゲーム。最初に麻衣子ちゃんと会ったとき、ピンときたんだよね。同じ人種だな、って。常に状況を観察して、損か得かを考えて、思ってることを口にしなかったり、思ってもないことを発言したりする。まあ、男は女以上に単純だから、だいたいはあれでやられちゃうよね」

動揺を抑え、冷静に

「言ってることがよくわからないんだけど?」と言うと、笑い出して

「もういいって、俺には、本当のこと言って。真斗とか完全やられてるもんね。"麻衣子ちゃん、モデルなのに高飛車じゃなくておとなしくていい子なんだよ"とか、会う前言っててさ。俺は基本、信用しないからね、で、”どんだけだよ?”と会ってみたら、チーム同じ人種、じゃん。笑ったわ。
あのあともさあ、真斗盛り上がってるから”あの女はやめとけ、お前の手に負える女じゃないから”って言ってやったんだけどさ、”お前は麻衣子ちゃんのこと全然わかってない”とか言っちゃって。完全やられちゃってるんだよね。真斗はかわいそうだから、手出さないでやってね」

かわいそう?? 怒りと動揺で頭が混乱して黙っていると

「なんて返そうか考えてるんでしょ? だから、もういいって、化けの皮とっくに剥がれてるから」と、また笑った。

「もしかして、こんなこと言われたの初めて? まあなあ、男は見えないやつ多いからなあ。でもさ、あっちの方が幸せかもなって最近思うんだよね。真斗みたいに、ちゃんと人を信じられて、アホみたいに女に惚れて、自分を偽らずに生きていけたほうが幸せなんだろうなあって。仕事も女もうまいことやれてて、何にも困ってないけど、なんか虚しくなることあるもんなあ。真斗みたいなまっすぐなやつ見ると、なんか、実は負けてんのかな、俺、ってたまんなくなるときあるよ」

「どうしてそんなこと、私に話すの?」やっとの思いで口にした。

「言ったじゃん、同じ人種だって。若い頃はさ、それでも楽しかったんだよ、女取っ替え引っ替えでさ。でも、こいつら、俺のこと好き好き、とか言ってるけど、何見て好き好き言ってんだか、って思うと興ざめでさ。なんか、虚しいっていうか、さみしいっていうかさ。で、麻衣子ちゃんもそうじゃないかなあ〜って思ったからいってみたの」

「私は、、、」

「ま、嘘つき通したいなら別にいいけどさ、なかなかこんなこと見抜いてくれちゃう男もいないだろうからさ、楽になるかなって思ったんだけどさ。俺意外といいやつだったりもするっしょ?」とまた笑った。

「女として魅力的なだけじゃダメ」って?

「翔太さんは、本命とかいないの?」

「今はいないね。ただ、最近ちょっと本気になりそうな子はいる」

私の前でよくもぬけぬけと。こんな侮辱にあったのは初めてだ。

「ま、麻衣子ちゃんもさ、男に死ぬほどモテると思うけど、幸せになりたかったら変わった方がいいかもね」

さすがに、上から言われて、感情が抑えられなくなり

「意味がわかりません」とむすっとして言った。

「やっと、本音が出たね笑 そのさ、最近本気になってもいいかな、って子さ、素直っつうか、そのまんまなんだよね、一生懸命でさ。俺のこと本気で理解しようと必死でさ。その必死さがちょっと愛おしくなっちゃってさ。俺、こんなに遊んでんのに信じててさ。そうすると”なんか大事にしてやりたいかなあ”みたいな気持ちがちょっと湧いてきちゃってるんだよね」

「それは翔太さんの場合でしょ?」と反論すると

「いや、違うと思うなあ〜。麻衣子ちゃんみたいな子は、落としたくなるし、遊ぶのには最高なんだろうけど、なんか、それだけっていうかさ。あ、ごめん、さすがに失礼だったね。簡単に言うと、女としては魅力的なんだけど、人として惚れないってこと」

「褒められてないんですよね?それ」

「そうだね、残念ながら。何度も言うけど、女としては最高に魅力的だよ? でもさ、本心見せないし、結局自分でしかないんだろうなあ、みたいの見えちゃうと、人としては愛せないよね。ほら、よく言うでしょ? 愛されたかったら、まず愛しなさいって。そういうことかなあ」

何が何だかわからない。男は女がミステリアスだから、落としたくなってどんどんのめり込んでいく、と信じていたし、ずっとそうしてきて、落とせない男はいなかった。でも、あれは、違ったというのか。

「わけわかんないって顔してるね。いいじゃん、それでいいんだよ、思ったことを顔に出せばいいし、言葉にすればいいの。求められる女を演じるんじゃなくて、そのまんまの麻衣子ちゃんを好きになってもらった方が、ずっと幸せだと思うよ。なーんて、さんざん遊びまくってきた俺が言うセリフじゃないか笑」

心の中で、今まで信じていたものが崩れはじめ、途方にくれる麻衣子であった。

 

 

 


written by yoshie watanabe

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